Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2020

連載東北からの便り

復興カメラ 今月の一枚

2020

8

平田
第6仮設

2020年7月20日 平田第6仮設団地(平田総合公園多目的グラウンド)

2011年6月27日

—その写真には何が写っていますか?

新しい写真には、まもなく解体される仮設住宅が写っています。
 
今年の3月に全員が退居し、もう誰も住んでいません。
 
手前から6列目の小さな小屋が、談話室でした。
 
右奥の茶色がかった壁の建物は、高齢者や障害のある方々の居住エリア。
 
その奥の少し離れたところに、子育て世帯が生活していました。
 
安全面や夜泣きへの配慮ですね。
 
右側の空き地は、かつて仮設の商店街があったところです。
 
商店街にはスーパーも入っていました。
 
本設の建物が完成したので、ここから車で3分、歩いて30分くらいのところに移転しました。
 
生活するには車が不可欠で、一世帯に3台持っているところもありました。
 
駐車場が足りず、車の置き場所に困った人がいました。
 
古い写真には、木造の基礎が写っています。
 
完成は遅かった方で、あと3ヶ月くらい工事していたと思います。
 
県外車両、特に秋田ナンバーが多かったかな。
 
間取りは1K、2K、3Kとあって、部屋ごとにユニットバスがついていました。
 
一世帯4人以上は、2部屋借りられるようになっていったと思います。
 
ここから通学する小学生、中学生、高校生がいました。
 
自立再建か、それを諦めて公営住宅へ入居するか——、住民の皆さんは難しい選択を迫られました。
 
自立再建を決断したけれど、土地の問題等で工事がなかなか進まないケースも。
 
自分ではどうしようもない、そんな事情を抱えた方々が最後までここに残りました。
 
仮設は壁が薄くて音が気になったけど、公営住宅はまったく人の気配がしない。
 
見回り活動をしていると、独り身の方からそんな話をよく聞きます。
 
新しい写真には鹿が写っています。
 
片方の後ろ足がないもの同士が、つがいになりました。
 
ひと冬こえたら家族が増えていました。
 
写真の2頭はそれとはまた別のペアかな。
 
住民さんにとって、この風景は見慣れた1コマです。
 
この仮設に住んでいたことも、いつかいい思い出になったらいいなあ。

話し手|川原康信、上野育恵(復興カメラ)
きき手|松本 篤(AHA!)

特集10年目の
わたしたち

震災後、地図を片手に
歩きはじめる

12月公開