思いがけない災禍のなかで迎えた10年目。突然の変化にうろたえ、これまでと異なる暮らしに戸惑うとき、どこかであの「震災」を思い出したり、振り返ったりする人もいるでしょう。ふと思い出したこと、忘れられないこと、忘れたくないこと。ここでは、東日本大震災にまつわる出来事を綴ったみなさんの手記をお届けします。
これまでの経験を、さまざまな人とわかちもつだけでなく、手記のなかや、そこから生まれる対話には、これからをともに生き抜くためのヒントがあるのではないでしょうか。
「10年目の手記」プロジェクトメンバーが選び、「10年目をきくラジオ モノノーク」で朗読した手記には、特別選考委員の小野和子(民話採訪者/みやぎ民話の会)のコメントと中村大地(作家、演出家/屋根裏ハイツ主宰)が演出した俳優の朗読音声が付いています。
3月12日
海仙人
大震災から1か月後の「福島県浜通り地震」は日本で初めての「正断層」が引き起こした
しもやまだまこと
もとちゃんへ
島津信子
スタート
西條成美
ある大学3年生の優雅な(はずだった)午後
平岡希望
三陸で臓器提供への道を拓いた陸前高田の親子
久保田洋一
津波さえ来なかったら
目黒とみ子
看板
あむ
日本は罹患している。家族も罹患。僕も罹患した。
澤 隆志
黙祷の時間
K.O
きれいな星としょうが焼き
佐々木里菜
自分の今いる場所で
大政 愛
鴎
思いはいつも南三陸町
2011年3月12日から、現在(いま)へ
はっぱとおつきさま
こころの記憶 届けたいこの想い
小坂 仁
私にとっての陸前高田
名古屋の住人
プールにて
海仙人
僕が歩き始めるまで
水島久光
9年前の《あの日》から
木村奈緒
こぼれていく時間を集めて
柳澤マサ
あの日
海仙人
祖母の日記
八木まどか
思い出すざわざわ
水月浮太郎
20.2リットル
高野信也
被災後10年目の日常
ちーたま
知らない
むろうち
黒い水
ユウレイボヤ
瀬尾夏美
(アーティスト/一般社団法人NOOK)
1988年東京都生まれ、宮城県在住。土地の人びとのことばと風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。2012年より3年間、岩手県陸前高田市に拠点を移し、対話の場づくりや作品制作を行う。2015年仙台市で、土地との協働を通した記録活動を行う一般社団法人NOOKを立ち上げる。ダンサーや映像作家との共同制作や、記録や福祉に関わる公共施設やNPOとの協働による展覧会やワークショップの企画も行っている。著書に『あわいゆくころ 陸前高田、震災後を生きる』(晶文社)。
中村大地
(作家、演出家/屋根裏ハイツ主宰)
1991年東京都生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京在住。人が生き抜くために必要な「役立つ演劇」を志向する。近作『ここは出口ではない』で第2回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。「利賀演劇人コンクール2019」ではチェーホフ『桜の園』を上演し、観客賞受賞、優秀演出家賞一席となる。一般社団法人NOOKのメンバーとしても活動。
高森順子
(社会心理学者/阪神大震災を記録しつづける会)
1984年神戸市生まれ。愛知淑徳大学助教。専門はグループ・ダイナミックス。2010年より阪神・淡路大震災の手記集制作を行う「阪神大震災を記録しつづける会」事務局長。2014年に井植文化賞(報道出版部門)受賞。2011年より3年間、「人と防災未来センター」において災害資料を収集、保存、公開、展示する実務を担当。被災体験の分有の場の創出に関するアクションリサーチを継続している。
1月公開