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特集10年目のわたしたち

10年目の手記

暗闇に光る、小川の向こうには

しょうじこずえ

私の同級生、Iちゃんは津波で亡くなりました。Iちゃんとは保育園~中学校まで一緒に過ごし、中学では同じ部活動で共に汗を流す仲でした。当時私たちは22歳という事もあり、それぞれ学生・仕事と、会う機会はほぼありませんでしたが、震災時Iちゃんが行方不明と知ったときは、胸のドキドキが止まらず空に向かって手を合わさずにはいられませんでした。
その後、Iちゃんは数週間経っても見つかることはありませんでした。

夜になると、沼にひきずりこまれるような思いに苦しみ、それでも朝になれば前を向いて一歩一歩、その日できることこなしていく。と気持ちをなんとかコントロールしながら過ごしていた1ヵ月が過ぎた頃、夜に夢を見ました。
夢の中は真っ暗な空間でした。

どこを歩いているのかもわからないなか、ひたすら歩き続けていたら、はるか先に横一直線に光る“何か”を見つけました。
そこに向かって走り出しましたら、そこは小さな小さな小川がキラキラと光を放ちながら左から右へと流れておりました。キレイな小川だなと見入っていたら、「こずちゃん」と声が聞こえ、見上げるとそこにIちゃんが立っていました。「Iちゃん!」と私も声を上げ「Iちゃん!よかった!!みんな探しているから早く一緒に帰ろう!」と手を差し伸べようと小川を越えようとしたら、「こっちへ来たらダメ!」と、私は強い力で後ろに引き戻されてしまいました。すると小川とIちゃんはどんどん遠のいて行ってしまい、「Iちゃん!」と私が叫ぶと、Iちゃんの声はちゃんと聞きとることは出来ず、バイバイと手を振って更に小川と共にはるか遠くへ行ってしまいました。もしくは、私がどんどん現実へ引き戻されていったのかもしれません……

そんな夢を見た翌日、友人から「Iちゃんが見つかったらしいよ。」と連絡が入りました。ドキッとした私は、昨晩の夢の話をしました。すると、友人もIちゃんの夢を見たと言うのです。
どう感じるかは人それぞれですが、私はこの夢を一生忘れることはないし、Iちゃんの分まで命を全うしなければと、強く強く思わされる出来事なのでした。

自己紹介や手記の背景

震災を機に生き方を見つめ直し、“表現者(アーティスト)”として生きることを選び現在も日々表現活動を行って生きています。
手記を書いた背景は、どこにぶつけたらよいか分からないモヤモヤムカムカを手記の中で書きつづりたいと思ったことと、震災時に亡くなったIちゃんのことを誰かに知ってほしいという思いでつづりました。

暗闇に光る、小川の向こうには

しょうじこずえ

自己紹介や手記の背景

震災を機に生き方を見つめ直し、“表現者(アーティスト)”として生きることを選び現在も日々表現活動を行って生きています。
手記を書いた背景は、どこにぶつけたらよいか分からないモヤモヤムカムカを手記の中で書きつづりたいと思ったことと、震災時に亡くなったIちゃんのことを誰かに知ってほしいという思いでつづりました。

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