2020
7月
三陸鉄道
大槌駅
2020年7月6日 三陸鉄道大槌駅(旧JR山田線大槌駅)
2011年5月5日
新しい写真には、防潮堤が写っています。
実物を見ると、ものすごく高く感じます。
古い写真には、右奥に山が写っています。
新しい写真にはそれが写っていません。
古い線路が剥がされてから新しい線路が敷かれるまで、一時的に車道になっていました。
その時の様子は、どちらの写真にも写っていません。
線路の高さがそもそも変わっています。
2mくらい盛り土されているの、気づきました?
きれいになったな——、初めて2枚の写真を見た人はそう思うかもしれません。
古い写真には、駅の向こうが何も写っていません。
一面、家やお店が立ち並んでいたんです。
新しい写真にも、駅の向こうが何も写っていません。
あったものが戻らなかった結果です。
新しい写真の黄色い重機が置いてあるあたりから、水が湧いています。
ミズアオイやイトヨといった希少生物が見つかりました。
何を残すべきかという議論が起きました。
現時点では、土を盛らず、球技場などもある公園として整備される予定です。
湧き水は、大槌の日常の風景でした。
生活用水でもあったし、そこに人も集まっていました。
この先、生物や植物が生きる公園ができて、それを愛でる人が集まって。
球技場でプレイする人もいて。
それではじめて「復興したのかな」と、なんとなく感じることができるかもしれません。
話し手|川原康信、上野育恵(復興カメラ)
きき手|松本 篤(AHA!)
NPO法人@リアスNPOサポートセンター
2003年商店街活性化の一環として、岩手県釜石市にて設立。自分たちの手で地域が抱える問題を解決するために、住民、行政、地元企業、NPOなどが連携するプラットフォームづくりをサポートしている。震災以降の写真を残す『復興カメラ』などのプロジェクトを行っている。
AHA!
2005年、NPO法人記録と表現とメディアのための組織(remo)を母体に、大阪市にて設立。8ミリフィルム、家族アルバム、戦時中の慰問文など、さまざまな「市井の人びとの記録」に着目したアーカイブづくりを行う。キャッチフレーズは、「A Happy Birthday to Your Little Record!——小さな記録の誕生日を祝おう」。