話題
オープンニングトーク/世界の今日/10年目の手記/あなたの“立ち上がりの技術”教えてください/わたしのレコメンど!/エンディングトーク
11月28日、「10年目をきくラジオ モノノーク」の第7回が放送されました。
前回放送から2週間が経ちました。久しぶりの月2回配信ですね。
パーソナリティは瀬尾夏美と桃生和成。東北リサーチとアートセンター(TRAC)からお届けします。
瀬尾は前回お話していた奈良の大学生のもとでワークショップをしてきたそうです。これからのつながりも楽しみなので、続報をお待ちしております。一方の桃生は運転している代車を小道でこすったそうで、気をつけてください。
本日は、イタリア・ヴェネツィアより、Tae Cimarosti(タエ・チマロスティ)さんをお迎えしました。Taeさんはレコード会社勤務の後、現在、カフォスカリ大学で文化人類学を選考される学生です。今年の3月まではフィールドワークで仙台市若林区の荒浜にいて、まさしく新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けて帰国することができず、結局イタリアに戻ったのは6月だったそうです。イタリアは最初に感染拡大が起こった1月下旬から、多くの死者を出してしまいましたが、幸いTaeさんのご家族やご友人に亡くなった方はいなかった、とのこと。
当日はYouTubeのチャット欄にフィールドワークで交流した荒浜の方からコメントが届き、ラジオを通じてではありますが、久しぶりの再会を喜んでいました。
震災から10年を迎えるにあたって、という問いには、「荒浜は場所ではなく、心のなかで育てるふるさとではないか、そしてそれはどんな災害でも壊れないのではないか」と、フィールドワークで滞在した荒浜への愛を語ってくださいました。
Taeさん、ありがとうございました!
Taeさんとオンライン中継。
第4回は7通の応募がありました。ありがとうございます。本日はその中から宮城県石巻市、西條成美さんの『スタート』を青年団に所属する俳優、林ちゑさんに朗読していただきました。
朗読を聞いて「石巻のNPO団体が掲げていた『震災が来て救われた、なんていうことは二度と言わなくて良い社会にしたい』という標語を思い出した」と桃生。
震災を契機に人生が変わった人はその災害の大小に問わず多くいますが、こういった風にきっかけというのは他者や社会というような、外の状況から与えてもらうことがほとんどなのかもしれません。
コーナーの後半では直接的な震災当日のことではなく、その後の友人の姿を描いた島津信子さんの『モトちゃんへ』など、他にお送りいただいた手記の紹介もしましたので、ぜひお聞きください。
本日の“立ち上がりの技術”は、歴史社会学者の山内明美さんにお話を伺いました。南三陸町出身の山内さんは宮城教育大学に在籍しており、東北地方を中心に、近代日本の社会構造や文化、特にお米についての研究されています。
小学校の頃から自分の田んぼをもらい、自分で食べる米を自分で育ててきたという山内さんは、1993年の冷害によって米が収穫できなかったという出来事が現在の研究のきっかけになったそう。東日本大震災直後、その経験を引き合いに書かれたのが『こども東北学』とのことです。
嵩上げ地の話題になったとき、「10年、20年の自分たちのことだけを考えて新しい街をイチからつくるのではなく、100年、200年後その土地に暮らす人たちのことが考えられるかどうか。でも、まだ10年しか経ってないんですよね、まだまだこれからだと思います」という言葉がとても印象に残りました。
「巫女さんみたいな語りだった」「当日も僕らじゃなくて、もっと遠くに話しているみたいだった」とパーソナリティー2人が言っていたその語りから、目の前のこと、自分たちの人生だけじゃないスケール・尺度で社会を見つめ直すことについて、改めて考えさせられるインタビューでした。
山内さんへのインタビューの様子
本日最後のコーナー。みなさんの「レコメンど!」を募集しています。
今回はラジオネーム、愛媛県からたぬきちさんからのレコメンドを紹介
「全部すっからかん~」というフレーズが強烈に耳に残る奇妙な音頭。映像も衝撃的なので、合わせてご覧ください(リンクが、YouTubeの概要欄に貼ってあります)。
ということで、今回も盛りだくさんの内容で2時間お届けしました。
次回は12月26日、21時より、年内最後の放送です。
「10年目の手記」の応募も引き続きお待ちしております!
ON AIR曲
■ Tenniscoats & yumbo「しろいもの」
■ HIROSHI WATANABE a.k.a Kaito「Summer Surround」
■ 板橋文夫「がんばんべー東北」
(執筆:中村大地)