Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021

連載東北からの便り

10年目をきくラジオ モノノーク

第10回
2021年2月13日

話題
オープニングトーク/世界の今日/こどもだったわたしは/あなたの“立ち上がりの技術”教えてください/わたしのレコメンど!/エンディングトーク

オープニングトーク

2月13日、「10年目をきくラジオ モノノーク」の第10回が放送されました。
残り放送回は3回。パーソナリティは瀬尾夏美と桃生和成。東北リサーチとアートセンター(TRAC)からお届けします。

桃生は前回放送の「世界の今日」に出演いただいた日比野さんの元を、阪神・淡路大震災当時まだ生まれたばかりだったという若者と一緒に訪ねることになったそう。続報を楽しみにしています。

瀬尾は展示に書籍とリリースラッシュに追われ、自宅にこもって作業の日々が続いているということ。展示のための映像収録で、陸前高田を訪れた際の素敵なエピソードを話してくれました。

世界の今日

本日は詩人・マルチモーダル人類学者のふくだぺろさんにお話を伺いました。昨年11月まではアフリカ・ルワンダで滞在されていたとのことで、その様子もお話してくださいました。

27年前に起きた激しい内戦を経たルワンダという土地に暮らしたふくださんの視点で、「災害(災禍)に遭う」こと、その後を生きていくことは、どんな営みだと思うか、という瀬尾の質問に対し、「僕は当事者ではないし、話せることは限られている」と前置きし、「忘れられるわけもないだろうし、許すというような甘い話ではないだろうし……」と、ゆっくりゆっくり言葉を選びながら、広島で被爆体験をした妻のひいおじいちゃんのエピソードを話している様子がとても印象的でした。


ふくだぺろさんとオンライン中継

こどもだったわたしは

瀬尾が東日本大震災当時小学生だった方に話を聞き、それをテキストにする「こどもだったわたしは」。この日は、東京で震災を体験しながらも、率先して震災のことを口にし、行動してきたという方の話を取り上げました。「どうしてこんなに震災のことを引き受けているのかが不思議だった」という瀬尾は、「世界が小さかった頃こそ、すごくダイレクトに震災のことが接続してしまったのではないか」と語っていました。
朗読は演劇企画もじゃもじゃの安藤あゆみさん。サイトには瀬尾によるドローイングもありますので御覧ください。


瀬尾夏美《暗いまちはうそつき》2021年

「暗いまちはうそつき」(作:瀬尾夏美、朗読:安藤あゆみ)の音声、テキスト、ドローイング、執筆後記は「こどもだったわたしは」のページからご覧いただけます。

あなたの“立ち上がりの技術”教えて下さい

東日本大震災や、過去に別の災禍を経験した人たちのエピソードを取り上げて、その背景や、そこで得た技術や考え方がいまの生活にどのように生きているかなどを聞き、現在に応用可能な“立ち上がりの技術”を見出していく「あなたの“立ち上がりの技術”教えて下さい」。第10回目となる今回は久しぶりの登場となる佐竹さんとともに、福島県在住で、写真家・高校教諭の赤城修司さんのお話を伺いました。

写真だけではなく言葉や漫画など、いくつかのメディアを使い分けている赤城さん。複雑なことが描くからこそ、当初から自分がつけていた記録は地理的にも時間的にも遠ければ遠いほど良いだろう、これを客観的な視点で見ることができるのは10年かかるだろうと思っていたとのこと。

Twitterで発信しているとき、意識していたことの話になり、「他の誰かに届けるということを意識した瞬間少しかっこつけてしまうと思うので、自分しか読まないものとして文章を考えないと、自分の身の回りのことを拾って、思ったことを残せないんじゃないかと思った」という言葉が心に残りました。


赤城さんにオンラインで話を伺う

わたしのレコメンど!

本日最後は2ヶ月ぶりとなったこちらのコーナー。今日はラジオネームさっぴーさんが伊藤豊蔵さんの手書きzine「派」を紹介。伊藤さんと知り合いにならないと手に入れることのできない貴重なzineに載せられた詩を佐竹さんが朗読しました。

放送終了直後、福島県沖で起こった地震で、宮城県仙台市のスタジオでも大きな揺れが。後日、東日本大震災の余震だったとの報道もあり、人間が10年を振り返っている中でも、地球規模・自然の規模感ではまだまだ変化の途中なのだと、強く体感する出来事でした。

残すところ放送もあと2回。
次回2月27日は21時より放送します。
瀬尾が新作映画の公開日ということで、初の収録放送となりますが、お楽しみいただければ幸いです。

ON AIR曲
■ ルワンダでのフィールドレコーディングより「イギタラモ(パーティー)」
■ emm the dankjam「Brend the Fire」
■ DANKJAM「The Hit Channel」
■ 七尾旅人「Memory Lane」

(執筆:中村大地)

特集10年目の
わたしたち