Art Support Tohoku-Tokyo 2011→2021

連載東北からの便り

復興カメラ 今月の一枚

2020

11

大槌町
吉里吉里

2020年10月20日 大槌町吉里吉里

2011年3月18日

—その写真には何が写っていますか?

新しい写真には、きれいになった国道45号が写っています。
 
津波の前後で、道路の高さがずいぶん変わりました。
 
定点探しがかなり難しかったです。
 
国道の左側には、震災後に建設された堤防が見えます。
 
海岸もみえます。
 
今夏はコロナの影響と防潮堤工事があって、海開きできませんでした。
 
国道の右側には、繁みが見えます。
 
天照御祖神社の鎮守の森です。
 
波は社のふもとまで来ました。
  
「あの日、なぜ津波から この神社は残ったか。」
 
そんなタイトルの広告のモデルにもなりました。
  

  
古い写真には、土盛りされる前の国道が写っています。
 
奥に進むにつれて海面の高さに近づいていきます。
 
国道の右側には、家がびっしり並んでいました。
 
かろうじて鉄筋の建物が残っています。
 
2階建てのクリーム色の建物が見えますね。
  
波はそれより高いところまで来ました。
 
この地区では、かなり早い段階から、住民みずから救助や復旧が始まりました。
 

 
戦前、うちのじいちゃんはここで網元をやっていました。
 
昭和の大津波の時(1933年の昭和三陸地震)、海辺にあった家は流されました。
 
家を山側に移しました。
 
「ここは高いから大丈夫」って。
 
その家にも、今回の津波はやってきました。
 

 
小さい時から、毎夏、泳ぎに来ていました。
 
小3の時、離岸流に遭ったんです。
 
シェパードが助けてくれました。
 
お盆には水が冷たくなるから入るなって、あとで言われました。
 

 
プールが高校になかったんです。
 
だから、水泳の授業はここでやってました。
  
1日中、みんなで浜辺にいるんです。
  
時間がゆっくり流れていました。

 

話し手|川原康信、上野育恵(復興カメラ)
きき手|松本 篤(AHA!)

特集10年目の
わたしたち